猛暑で変わる男性美容市場、UVケアとオールインワン商品が切り拓く新需要

猛暑で変わる男性美容市場、UVケアとオールインワン商品が切り拓く新需要
猛暑で変わる男性美容市場、UVケアとオールインワン商品が切り拓く新需要のニュース解説イメージ

ニュースの概要

日本の消費財メーカーが、男性向けの紫外線対策とスキンケア商品を相次いで発売しています。背景にあるのは、夏の高温化と長期化によって、日焼けや肌のべたつき、汗のにおいを気にする男性が増えていることです。資生堂は洗顔後に一つで使えるUVジェルを投入し、男性の皮脂量を意識した軽い塗り心地を打ち出しました。I-neも薬用UVジェルに保湿やにおい対策を組み合わせています。サントリーウェルネスも茶由来成分を使った男性向け商品を展開し、紫外線対策を美容だけでなく日常の身だしなみとして提案しています。

引用元: 日本の男性向けUV・スキンケア商品が相次ぎ投入、猛暑で需要拡大(Bernama / Kyodo)

分析・見解

男性向けUV商品は「美容」より日常の不快感で選ばれる

男性市場で広がっているのは、肌をきれいに見せる商品だけではない。汗で顔がべたつく、日中に塗り直しにくい、洗顔後の手入れが面倒といった不快感を一度に解決する商品である。男性用化粧品では、香りが強すぎないことや、塗った後に白く見えないことも購入の決め手になる。高温の日が続けば、UV対策は海やレジャーのための特別な行動ではなく、通勤や外回りの習慣へ変わる。

従来の日焼け止めは、紫外線を防ぐ性能を中心に説明しがちだった。しかし、毎日使ってもらうには、性能だけでなく使用時の負担を減らす必要がある。洗顔後に化粧水や乳液を重ねる工程を省けるオールインワン型は、その条件に合う。商品の競争軸が「どれだけ防ぐか」から「どれだけ続けやすいか」へ移っている点が重要だ。

皮脂と汗への対応がリピート購入を左右する

男性の肌は皮脂が多い一方、洗顔やひげそりで乾燥しやすい。表面は脂っぽいのに内部はつっぱるという状態も起こるため、単純に油分を減らすだけでは満足度が上がらない。軽いジェルに保湿成分を組み合わせる設計は、この矛盾を扱う現実的な方法である。汗をかいた後も膜感が残りにくければ、朝の一度だけでなく、外出前の追加使用も期待できる。

一方で、保湿、消臭、薬用、紫外線防止を一つに盛り込みすぎると、商品の役割が伝わりにくくなる。購入者が最初に理解できる主目的を一つ置き、補助機能を短い言葉で示すことが必要だ。例えば「通勤用の軽いUVジェル」を軸にし、保湿やにおい対策を裏付けとして見せる方が、売り場でも通信販売でも説明しやすい。

茶由来成分など機能の物語が選択理由をつくる

男性向け商品では、成分の機能だけでなく、なぜその成分を使うのかという物語も有効である。茶由来成分のように、日常の飲食と接点がある素材は、化粧品に慣れていない層にも受け入れられやすい。もちろん、成分の効果を過大に示す表示は避けなければならない。科学的な根拠と表示規則に沿って、肌への働きと使用感を分けて説明することが信頼につながる。

ここでの独自性は、男性美容を女性向け商品の縮小版として扱わない点にある。外出、仕事、スポーツ、ひげそりといった行動別に悩みを整理すれば、同じUV商品でも売り方が変わる。朝の通勤にはべたつきにくさ、屋外作業には塗り直しやすさ、休日には洗い落としやすさを訴求できる。

夏の長期化は販売時期と商品構成を変える

気温の高い時期が長くなるほど、UV商品の販売期間は春から夏に限られなくなる。企業は発売日を前倒しするだけでなく、梅雨時の蒸し暑さ、秋口の強い日差しまで含めて需要を設計する必要がある。季節限定の大容量品だけでなく、初回購入向けの小容量品や、外出先で使える携帯容器を組み合わせると、利用場面を広げやすい。

今後は、紫外線防止の数値競争だけでは差別化しにくい。肌への刺激、香り、衣服への付着、洗顔での落としやすさなど、使い終わるまでの体験が評価される。猛暑は一時的な販促機会ではなく、男性の手入れを習慣化する市場条件になっている。

ビジネスへの影響

商品企画は男性全体ではなく利用場面で分ける

企業が最初に見直すべきなのは、男性という大きすぎる対象設定である。営業職、屋外作業者、子育て世代、スポーツをする人では、汗の量や塗り直しの機会が違う。調査では肌悩みだけを聞くのではなく、いつ塗るか、何分で手入れを終えたいか、どこで購入するかまで確認したい。こうした行動情報をもとに、通勤用の軽量品、屋外用の耐久品、旅行用の小容量品へ分けると、広告と売り場の言葉が具体的になる。

価格設定では、高機能化による単価上昇だけを狙うと初回購入の壁が高くなる。小容量の入門商品で試してもらい、詰め替えや大容量品へ移行させる段階設計が有効だ。使用量や塗り直しの目安を容器や販売ページに明記すれば、効果への期待外れも減らせる。

販売現場は「紫外線」以外の悩みを入口にする

ドラッグストアでは、日焼け止め売り場だけでなく、洗顔料、制汗剤、ひげそり用品の近くに商品を置くことで接点を増やせる。男性客は美容売り場を目的地にしない場合があるため、「朝の身だしなみ」「汗をかく日の顔用」といった表現の方が手に取りやすい。通信販売では、べたつきや白浮きの有無を短い動画で示し、使用後の質感を伝えることが購入判断を助ける。

企業は売上高だけでなく、初回購入から二回目までの日数、朝と外出前の使用比率、季節終了後の継続率を追うべきだ。これらを見れば、商品が一時的な猛暑需要で終わったのか、日常習慣として定着したのかを判断できる。猛暑対応の本質は新商品を増やすことではなく、毎日使う理由を設計することにある。

関連記事

[PR]